日本の食卓に欠かせない「鮭」
朝食に、おにぎりの具に、
みんな大好きなお馴染みの鮭に、
超高級なものがあるのをご存知ですか?
一度は食べてみたいブランド鮭、
鮭児・トキシラズ・マスノスケ・メジカ
についてまとめてみました。
幻の鮭、鮭児とトキシラズの違い
鮭児という幻の鮭を知っていますか?
鮭児は「ケイジ」と読みます。「ケンチ」ということもあります。
鮭は、秋になると産卵のために海からふるさとの川に
帰ってきます。お腹の赤い鮭が川で跳ねている
様子は、ニュースなどでよく目にしますよね。
お腹の赤い鮭など川で産卵する鮭は婚姻色という
濃い色になった「ぶな毛」の鮭です。
秋鮭のなかでも、川に上がる前の成熟度が低い鮭は
ぶな毛に対して「銀毛(ぎんけ)」と呼ばれ、
卵や白子に栄養を取られていない分、美味とされます。
秋鮭100匹中に1匹、と言われる銀毛ですが、
鮭児はさらに希少で、数千〜10,000匹中に
1〜2匹、というまさに「幻の鮭」なんですって。
鮭児は卵巣や精巣が未成熟な鮭
鮭児は日本の川で生まれた鮭ではなく、ロシアの
アムール川で生まれた鮭が、日本生まれの鮭にまぎれて
北海道沿岸の定置網にかかってしまったもの、
といわれています。
「鮭の児」という字のとおり、まだ雄・雌の区別も
つきにくい未熟な鮭で、脂肪たっぷりで身が締まり、
刺身にするとおいしいのが特徴です。
トキシラズは春から初夏にとれる若い鮭
10000匹中に1匹!の幻の鮭「鮭児」の他にも、
秋鮭100匹中に1匹の銀毛以上に脂がのった鮭、が存在します。
それが、トキシラズです。
トキシラズ(時不知)も鮭児と同じくロシアの川で
産まれた鮭です。秋鮭は通常4~5年で成魚となり
川を上って産卵しますが、トキシラズは5~7月頃、
まだ生殖巣が未熟な状態で北海道沿岸で捕獲されるので
春から初夏に獲れる貴重な鮭として古くから人気があります。
トキシラズ(時不知)は、時鮭とも書きます。
秋ではない季節に時を間違えてやってくる鮭、
ということでこう呼ばれています。
産卵までにまだ時間があり、たくさん泳ぎたくさん
餌を食べている状態のトキシラズは、鮭児と同じく
脂のりが良いのが特徴です。
画像:時鮭の刺身
鮭児は、まだ卵巣や精巣が未熟な鮭、
トキシラズは、産卵準備中だが産卵までまだ数ヶ月あり
栄養や脂が卵巣や精巣にとられていない若い鮭、なんですね。
そして、どちらも母川はロシア。
よく似ていると思いますが、どう見分けるのでしょうか?
・鮭児が獲れるのは11月上旬から中旬
・トキシラズが獲れるのは5~7月頃
という時期の違い以外に鑑別する方法は、
鮭のお腹を開いて
「胃袋の下側についている幽門垂の数」
を確認するのが確実とされています。
幽門垂が220くらいあれば鮭児、が定説ですが、
日本系アキサケは約160本、トキシラズおよびケイジは200本以上
(北海道さけ・ますふ化場研究報告)
という情報もありましたので、
鮭児と時不知を見分けるのはかなり難しそうです!
購入する時は、鮭のお腹は綺麗になっていますしね。
価格は、鮭児の方がかなり高価なので、
トキシラズを鮭児と偽って売る業者もあるとか…
本物の鮭児は信頼できる漁業協同組合の
認定バッジや証明書が付いたものを
購入するのが一番安心でしょう。
マスノスケと鮭児の違いは?
高級鮭、というと王様の鮭という意味の
「キングサーモン」も思い浮かびますね。
キングサーモンには日本名があります。
日本名は、マスノスケ(鱒の介)です。
スケ(介)、オオスケ(大介)、スケマス(介鱒)
と呼ばれることもあるマスノスケ(鱒の介)の
介(すけ)は、国司の四等官のうちの次官のこと
なので、「マスの大将」的な名前ですね。
キング、大将という名のとおり、
サケ科魚類の中では最大級の大きさです。
ところで、マスノスケ(鱒の介)と聞いて、
あれ、キングサーモンって鱒(マス)なの?!
と不思議に思いませんでしたか?
鮭と鱒は、河川に残留するか河川と海洋を行き来するか、
などの違いはあっても、同じサケ目サケ科の魚なんです。
日本では元々白鮭だけが「鮭」で、そのほかはマス、
という括りがあったのですが、マスよりサケの方が
高級感があるということで、ヒメマスがベニザケに
変更されたりして混乱するのですが、鮭と鱒は
実はどちらも同じ仲間なんですね。なので、
マスノスケはキングサーモンです。
キングサーモンというと、私は海外の養殖サーモン
(トロサーモン)をイメージしてしまうのですが
マスノスケ、と言ったらそれは
国産天然物のキングサーモンです。
たっぷり脂ののった大きなキングサーモンは、
鮭児と同じく、ロシアに回帰する鮭を北海道で漁獲した
ものですが、白鮭の鮭児とは種類が違います。
大きなものは60kgにもなるというキングサーモン。
10kg超のマスノスケは身が厚く脂のりは最高で
鮭児とはまた違った美味しさがあるそうです。
メジカと鮭児の違いとは?
マスノスケは大型鮭(キングサーモン)ですが、
メジカは鮭児、時不知と同じ白鮭です。
鮭児、時不知の母川はロシアですが、
メジカの母川は日本(本州)です。
メジカ(目近、めぢか、めじか)は白鮭の秋鮭で
眼が近くに寄っているように見えることから
目近、と呼ばれます。
銀毛は産卵までまだ1〜2ヶ月ある若い鮭ですが、
メジカは銀毛よりさらに若い、希少な鮭です。
本州の川に上るための回遊中に北海道で漁獲される
ため、遡上(そじょう)に備えて栄養を蓄えている
脂がのった状態の、美味しい鮭です。
鮭は産卵期に「鼻曲がり」に変形しますが、
成熟度の低いメジカはまだ鼻が伸びず、そのため
目が近くによって見えるのです。
産卵前のホルモンの関係で銀の鱗が剥がれやすく
黒光りしているのも、メジカの特徴です。
定置網で1000匹中1匹程度しか捕獲されない
希少種で、1万本に1匹の「鮭児」が知られる
ようになるまでは、国産秋鮭の最高峰でした。
鮭児は脂が強すぎ、メジカの方が美味しい
という声もあるので、あっさり好きの方は
鮭児よりメジカの方が好みかもしれません。
まとめ
もっとも値段の高い鮭は鮭児です。
高級鮭を価格順に並べると、
鮭児>トキシラズ>メジカ>マスノスケ
の順になります。
それぞれの鮭の違いを簡単にまとめると
以下のようになります。
鮭児:
ロシア出身の産卵期前の未熟な白鮭が
国内で産卵を控えた秋鮭に紛れて捕獲されたもの
トキシラズ:
ロシアで産卵を控えた白鮭が
国内で春から初夏に捕獲されたもの
メジカ:
本州で産卵を控えた秋鮭(白鮭)が
北海道で捕獲されたもの
マスノスケ:
ロシアのキングサーモンを国内で捕獲したもの
高級な鮭とは、基本的に若くて脂がのった
希少種なのですね。
うーん、食べ比べしてみたい!