だるまを買ったけれど、目の入れ方が分からない。
受験の合格祈願に目を書いていないダルマを贈られた。
だるまの目って片目だけ書いて、願いが叶ったら両目入れるんだよね?
でも、だるまの願掛けってどっちの目から目を入れるの?
右目と左目を書き間違えたらどうする?
ダルマの目の塗り方は塗りつぶす?白目を残す?
ダルマの目入れのなぜにお答えします!
だるまの目の入れ方はどっちから?
願いを込めて片方だけ目を書き、願いが叶ったらもう一つの目を入れる。
「ダルマの目入れ」は選挙でよく見かける風景なので、最初は片目だけ書いて、願いが叶ったら両目にするんだよな〜、という知識はあっても、いざ、ダルマと向き合うと
「あれ?どっちの目を先に書けばいいの?」
と戸惑いますよね。
ダルマの目の書き方に決まりってあるのでしょうか?
ダルマの生産日本一、群馬県の「高崎だるま」では
左の眼から
始めるとよいとしています。
左というのはダルマの左目のことなので、最初に向かって右側の目を書く、
ということですね。
高崎だるま発祥の地、とされる少林山達磨寺の「少林山七草大祭だるま市」では達磨堂でお坊さんがだるまに小さく目を書き入れて「開眼(かいげん)」をしてくれますが、その時も「左目」を開眼します。
仏教行事に、お坊さんが新しい仏像に目を書き入れる所作をして仏様に魂を入れる「開眼供養」という儀式がありますが、ダルマに目を入れるのも、これと同じような意味があるのです。
自分でだるまに目を入れる時も、ダルマのモデルと言われるインドの達磨大師のような強い意志で「大願成就に向かって努力できますように!」と心を込めて書き入れると、片目のダルマを見るたびに「願いを叶えて必ず両目を開ける!」と決意した気持ちを思い出せるでしょう。
なお、高崎だるまは「左目」から入れると良いとされていますが、ダルマの目の入れ方もは各地で異なり、選挙の当選祈願は右目から、など願い事によって左右どちらの目から入れるか変わる、とする地方もあります。
「家内安全」「交通安全」「厄除祈願」など、願いを成就するというよりもダルマさんにしっかり見張ってもらいたい、という場合は、最初から両目を書くこともあります。
ですから、ダルマの目をどちらから書くか、には実は正解はないんですね。
縁起物なので、六曜(暦)のお日柄の良い日にち(大安・友引・先勝)を選んで目を書く人もいますが、どちらの目から描くかはあまり心配しなくて大丈夫です。
だるまの目を自分で塗る意味・由来としては、江戸時代に疱瘡(現在は撲滅している『天然痘』という感染症)が流行したから、という説もあります。疱瘡は江戸時代の失明原因第1位の疾患であり、疱瘡除けカラーの赤で目が大きなだるまの人気が広まりました。「だるまの目の書き方の良し悪し」は特に重要だったため、買った人が自分で書き入れるというやり方に落ち着いたようです。うちのダルマの目に文句があるならテメェで塗りやがれ!ということだったのかもしれませんね。
だるまに目を書く時の注意点
だるまに目を書き入れるなら、やはり筆と墨で描くべきでしょうか?
家にあるマジックやサインペンで目を描いてもいいのでしょうか?
だるまの目入れはペンでもOK。墨は流れないよう注意
ダルマの目入れは、筆を使って黒々とすった墨で描くとテンションも上がりますし仕上がりも綺麗ですが、筆で書く時は、気をつけないとだるまが「黒い涙」を流したようになってしまいます。
せっかくの縁起物のだるまさんが泣いてしまっては縁起が悪いですから、筆で書く場合は墨や墨汁の量に注意して、垂れ落ちないようにしましょう。
筆で書くと失敗しそうで心配な時や道具がない場合は、筆ペンやサインペンで書いても丈夫です。
書いた後は完全に乾くまでこすらないように注意しましょう。
だるまの目は塗りつぶししないで少し白目を残す
目を書く時は、白い部分全てを塗りつぶさず、目の縁を白く残します。
この目の縁を白く残すことを、ダルマを生き目にする、と言います。
白い部分があると、本当に目が動きそうに生き生きして見えますよね。
ダルマの生き目にはもうひとつ、
黒目の中央を白く少し残す
という書き方があるという説がありますが、こちらはかなりマイナーだと思います。
白く残すのは黒目の真ん中ではなく縁、周辺が一般的です。
塗りつぶさないダルマの右側に「叶」という字を入れることもあるそうです。
だるまの目もかわいいのが好き!笑顔にしてもいい?
群馬県の高崎市にはたくさんのだるまが飾られていますが、黒目ではなくニコニコした目やウインクした目、まつ毛がクルンとカールしたかわいい目のだるまさんも見かけます。
だるまはカッと目を見開いたまんまるの黒目にするのが普通ですが、可愛いだるまさんが好みなら、最近はピンクのだるまもありますし、黒目の真ん中にハートや星を書いたりするのもありだと思いますよ!
だるまの目入れを間違えたら?
だるま寺で「左目から入れてください」と言われたのに、右から書いちゃった!
自分から見て左、と勘違いしてダルマの右目から目入れしてしまった!
そんな時は「両目入れてしまう」という方法もありますが、もともとはっきりした決まりやしきたりがあるわけではないので、左右を間違えてもそのままで大丈夫です。気にすることはありません。
5角だるま、という合格祈願のだるまは「両目を開けてしっかりと私たちの毎日を見守っていただきたい」と願って最初から両目が描いてありますし、だるまには様々な種類があるからです。
ですから、目入れを失敗したからといってダルマを買いなおす必要はないのですが、縁起物だけに「失敗」はしたくないですよね。
参考に、各地のダルマの目入れについてご紹介します。
だるまの左目から目入れし、願いが叶ったら右目を入れる
・白河だるま
・相州だるま
・越谷だるま
・五色願かけだるま
は、最初に左目から開眼し、願いが叶ったら(成就したら)右目を書きます。
だるまに最初から両目を入れる
は、最初から両目が入っています。
伊達政宗公の独眼に配慮したからだと伝えられています。
だるまを購入したお寺でお坊さんに目入れしてもらう
・鈴川だるま
は、自分で目を書かずにお寺で開眼してもらうダルマです。
東京都調布市にある浮岳山昌楽院深大寺の深大寺だるまは元三大師堂前に設けられた「特設だるま開眼所」で深大寺のお坊さんが直々に目入れしてくださるのですが、ダルマの目を黒くするのではなく「梵字(ぼんじ)」というインドの古い文字を入れます。
ダルマの左目に物事の始まりを意味する「あうん」の「阿」の梵字を入れて開眼し、心願叶ったダルマの右目に物事の終わりを意味する「吽」の梵字を入れてお寺に納めます。(眼入れには志納金が必要ですが、明確な料金設定はありません)
静岡県富士市にある香久山妙法寺の毘沙門天大祭の鈴川だるまはお上人さんが「だるま開眼祈祷」を行います。開眼料はだるまの大きさにより異なりますので事前に確認してください。大きなダルマの開眼料は高額になります。