夏を代表する食べ物といえば、何と言っても
「土用丑の日のうなぎ」ですよね。
でも、夏の土用丑の日にうなぎを食べるのは
鰻屋の宣伝から始まった風習で、うなぎが
美味しい「旬」ではない、夏のうなぎは
実はまずい!という気になる声があるんです。
土用丑の日のうなぎがまずいというのは
本当なのか、調べてみました。
土用丑の日のうなぎは実はまずいってホント?
土用丑の日にうなぎを食べるようになった理由の起源は、
江戸時代に「夏うなぎが売れなくて困る」と鰻屋に相談された
平賀源内が「本日丑の日」と書くと良い、と勧めたからである
という説があります。
江戸時代には土用の丑の日に「う」の付くものを食べると
夏バテ防止になる、という風習があったので、これが当たり
ここから全国に広まった、というものです。
夏にうなぎを食べる、ということ自体は、もっと古く
奈良時代に大伴家持が万葉集のなかで
『石麻呂に吾物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻漁り食せ』
と詠んでいて、こちらが起源だという説もあります。
昔のうなぎは全て「天然物」だったでしょうから、
うなぎが活発に活動する夏は、きっとたくさん獲れたはず。
逆に、冬のうなぎは確かに脂がよくのってはいるのですが、
冬眠してしまうため、ほとんど獲ることは出来ないと言いますから、
味は別にして「うなぎといえば夏の食べ物」だったのでしょう。
数少ない天然うなぎで有名な高知県四万十川の
うなぎ屋さんによると、ウナギは四季折々にあっさり、
こってり、すっきりと違った味わいがあるので、
どの時期のうなぎが一番美味しいか、というのは
その人の好みによるのだそうです。
現在、ウナギは95%が「養殖ウナギ」ですが、
養殖の場合は季節に関係なく美味しい鰻が食べられるよう
きちんと同じ味に調整されていますので、
「夏のうなぎはまずい」
ということはありません。一年中同じ味です。
鰻の旬は冬なの?
天然ウナギの旬は、10〜12月の初冬です。
この時期のうなぎは冬眠に向けて養分を
蓄えるため、身が柔らかく、最も美味しいと
言われています。
この時期はうなぎが産卵のために海へ下る時期でもあり、
これは「下りうなぎ」として珍重されますが、
うなぎの稚魚は世界的に減っており、日本も多くの地方で
下りうなぎは採らないように、と決められています。
うなぎは卵から養殖できるわけではなく、
天然の稚魚からでなければ育てられないので、
天然物のうなぎだけでなく、うなぎを養殖するにも
天然の稚魚が必要なのです。
(余談ですが、うなぎの旬は秋〜冬ですが、
「うなぎの季語」は夏(三夏)です。)
うなぎは夏まずい、は誤解
私たちが口にするウナギは、国産うなぎでも
ほぼ100%養殖のウナギです。
養殖のウナギは一年中安定して同じ味ですので、
夏はうなぎの本当の旬でないからまずい、
ということはありません。
天然のうなぎは四季折々に味が変化しますが、
こってり、さっぱりそれぞれに美味しく、
どの季節のうなぎを美味しく感じるかは
食べる人次第、なんですね。
また、日本の天然うなぎは乱獲や環境変化によって
全国的に絶滅が危惧されているということで、
ほとんどの産地で「禁漁期間」が設けられています。
禁漁期間はうなぎが産卵する10月から2月。
今の鰻漁は、うなぎの旬の前に終了してしまうのです。
まとめ
国産の養殖ウナギは常に安定した品質になるよう
しっかり管理されているので、春夏秋冬通して
同じ味を楽しむことができます。
天然ウナギの場合も、四万十川のうなぎなどは
秋より夏の方が脂がこってりしているそうです。
土用丑の日のうなぎはまずい
ということはありませんので、ご心配なく!