こんにちは、まめりんごです。
今日は、現在看護師として働いていて、「養護教諭」に転職したいという方、また看護学生で養護教諭にも興味がある方のために、私の体験談をお話したいと思います。
(養護教諭は学校の「保健室の先生」です。よく養護学校(特別支援学校)教諭と混同されるので念のため。)
私は養護教諭免許は取得しましたが、学校で働いた経験はないので実務の実際はわかりません。
しかし、看護系から養護教諭へ、という情報は少なく、どうやって養護教諭一種を取得したのか知りたい、と時々聞かれますので、昔の話ではありますが皆さんの参考になればと記事にしてみることにしました!
養護教諭になるには 養護教諭免許とは
養護教諭の免許には、一種と二種があります。
一種は大学卒業程度、二種は短大卒業程度とされる免許状ですが、養護教諭の場合は一種でも二種でも幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、中等教育学校どこでも勤務できます。
公立の学校に就職する場合、採用に一種か二種かは関係なく、就職後に認定講習を受けて一種免許を取ることもできます。一種免許があれば大学院でその上の専修免許を取得することも可能となります。
養護教諭、保健室の先生になる王道は、大学教育学部の養護教諭養成課程に入ることです。
養護教諭は「養護をつかさどる者」ですが、学校という職場に教諭として就職する以上、(養護教諭過程は栄養・看護学部などにもありますが)教育学部で学ぶのがやはり一番有利でしょう。
しかし、看護で取得した単位を利用して教育学部の養護教諭養成課程、または養護教諭課程のある学部に編入して養護教諭になる、という道よりも、看護師が養護教諭を目指すなら、看護師免許をベースにする方が近道だと思います。
入学資格が看護師免許取得(見込)者、という保健師養成学校、または養護教諭特別別科で1年間で養護教諭免許を取得する方法です。
養護教諭特別別科と保健師学校の違い
保健師養成学校と養護教諭特別別科の違いは、
保健師養成学校は保健師の国家試験に合格し保健師の免許を取得することで保健師免許をベースに養護教諭二種を申請するということ。
保健師の国試を受けて合格する必要がありますが、1年間で保健師、第1種衛生管理者、養護教諭二種の3つの資格が取得可能です。
会社の規模、または業種により衛生管理者が必要、という職場は結構多く、第1種衛生管理者資格は一般企業への就職にも有利な資格です。
(ちなみに、養護教諭免許のみでも養護教諭として学校に勤務している間のみ、職場の衛生管理者になることが認められています。)
一方、国立大学の教育学部に設置されている養護教諭特別別科の場合は、別科の課程を修了すれば、養護教諭一種免許を申請できます。
学部生ではないので大学卒業の資格はありませんが、公立学校に就職すれば大卒と同等に扱われます。
保健師養成学校と別科は学校の数が非常に少ないのが難点で、私は東京出身なのですが、なんと東京にはどちらも一校もありませんーー。
四年制の看護大学、看護学部が増えていることから、一年課程の保健師学校や別科は、今後さらに減っていくのではないかと予想されます。
保健師養成学校と別科の一覧はこちらです。(2018年現在)
北海道 北海道立旭川高等看護学院(地域看護学科)
岩手県 岩手看護短期大学(地域看護学専攻)
秋田県 秋田県立衛生看護学院(保健科)
栃木県 栃木県立衛生福祉大学校保健看護学部(保健学科)
埼玉県 早稲田医療技術専門学校(保健学科)
長野県 飯田女子短期大学(専攻科地域看護学専攻)
富山県 富山県立総合衛生学院(保健学科)*
愛知県 名古屋医専(保健学科)
大阪府 藍野大学短期大学部(専攻科地域看護学専攻)
奈良県 白鳳短期大学(専攻科地域看護学専攻)
高知県 高知学園短期大学(専攻科地域看護学専攻)*
佐賀県 佐賀県立総合看護学院(保健学科)
*の学校は養護教諭一種免許が取得できる
北海道 北海道教育大学(養護教諭特別別科)
山形県 山形大学地域教育文化学部(養護教諭特別別科)
新潟県 新潟大学教育人間科学部(養護教諭特別別科)
石川県 金沢大学教育学部(養護教諭特別別科)
岡山県 岡山大学教育学部(養護教諭特別別科)
熊本県 熊本大学教育学部(養護教諭特別別科)
数年看護師として働いてしっかり貯金すれば、地方で1年間学生するくらいの資金はできるはず。
私は別科に在学しながら休みの日は看護師のバイトをしていました。
看護師から働きながら養護教諭、私の場合
私は看護学校3年次、看護師国家試験と同時に養護教諭特別別科の入試にもチャレンジしたのですが、合格できず付属病院に看護師として就職しました。
看護師一年目は3交代の勤務体制と仕事に慣れるのがやっとでなかなか受験勉強できず、二年目の秋に退職。受験勉強に集中してなんとか合格できました。
国立大学に行きたかったので、受験は別科のみです。新潟、神戸(当時は神戸大学にも別科がありました)金沢、を受験し、金沢大学の別科に行きました。
別科の同級生はほとんどが近県の現役学生。
クラスメート40人のうち、浪人は4人くらい?
毎年卒業生を別科に送り込んでいる看護学校(短大)があるらしく、看護師国家試験とのダブル受験でも合格できるノウハウというものが蓄積されているようでした。
地方大学は地元有利かもしれません。
試験問題は難しくはなく、ここで詳しくは書けませんが過去問を入手できると何を勉強すれば良いかわかります。
養護教諭の職務(学校では医療行為はできない)を考えればわかることですが、看護とは全く違います。
追記:受験勉強の詳細について記事のアップしました。こちらです。
別科の学生は、在学中にそれぞれ地元の公立学校の教員採用試験を受けるわけですが、厳しい、難しいといわれる養護教諭にかなりの確率で合格していました。
同級生はほとんどが養護教諭になっています。
正規採用されなくても、講師としての臨時採用から翌年、翌々年の採用試験(筆記は免除されたりするらしい)にチャレンジし正規採用、というケースもあります。
一年間働けば昇給などの対象になるのだけれど、臨時採用の場合は一年ちょっと手前で切られる契約なのが残念だった、という話も聞きましたが、これは地方によって違いがあるかもしれません。
私は東京都の教員採用試験を受けましたが結果は補欠。
先に企業内の保健室への就職が決まったため、結局養護教諭の免許は一度も活用していませんーー。
養護教諭は就職が厳しい、と言いますが、転勤や出産を機に途中退職、というケースもありますし男性教諭が多い教科より、粘ればチャンスはあるのではないかと思います。
養護教諭特別別科は、文部科学省のホームページの「教員免許状を取得可能な大学等」に載っている「養護教諭の免許資格を取得することのできる大学」には載っていない、知る人の少ない制度です。
しかし、知名度の高い国立大学内のコースになるので養護教諭(学校)就職には強いと思います。
私は私学会館にも履歴書をおかせてもらいましたが、コネがなくては難しいという私学からも、忘れた頃にではありますが、面接したいとの連絡がありました。
私学は看護師免許保持者有利、との噂もあります。
(私学では単なる「救急処置要員」になりがちで職員室に机がないこともあり、公立のような「管理職への道」もないとも聞くので待遇は要確認)
また、別科は卒業見込みで来年4月から採用の試験を受験できますが、保健師養成学校から養護教諭を目指す場合3月下旬に保健師試験に合格してから養護教諭免許を申請することになるのではないでしょうか。
つまり、新卒時には教員採用試験を受ける資格がなく、1年間のブランクが生じるのではないかと思います。
看護師、保健師、衛生管理者の免許があれば就職に困ることはありませんし、いずれの経験も養護教諭の職務に活かせるものになると思いますが、独学で「教員採用試験」に臨むのは不利かもしれません。
教育学部で教員を志す者は、普通2年3年かけて教員採用試験対策をしています。
ところが、1年課程の養護教諭特別別科の場合は4月に入学したばかりなのに教員採用試験が目前、というとても特殊な状況になります。
修了見込みで新卒受験できるとはいえ、決して有利な状況ではない、ということをよく考えて計画を練って下さい。
ちなみに、保健師が養護教諭二種免許を申請するには、保健師免許のほかに教育職員免許法施行規則第66条の6に定める単位を修得している、という条件があるのですが、四年制看護大学では、全ての学生が「養護教諭に必要な単位が取れるコース」に入れるわけではないので、はじめに書いたように看護師からの転職ではなく最初から目的が養護教諭なら進路は看護系ではなく教育系大学に進むべきです。
養護教諭一種免許が取得できる大学一覧は、文部科学省のホームページの「教員免許状を取得可能な大学等」に載っている「養護教諭の免許資格を取得することのできる大学」で確認できます。
まとめ
看護師資格で入学でき、1年間で養護教諭免状が取得できる学校は年々減少しています。
もし、現在看護師として働いていてこの経験を生かして学校の保健室の先生、養護教諭になりたいという希望があるなら、今すぐ保健師学校、または養護教諭特別別科の情報収集を始めるべきです。
病院勤務の経験も役立ちますが、養護教諭として採用され学校に就職するには、教育現場での経験の方がより重要です。
教育委員会によっては、看護師資格でも養護教諭の臨時職員として採用しているところもあるので、まずそちらに転職し、働きつつ受験勉強するのも良いと思います。